『ケトジェニック・ダイエット』とは?
個人的な疑問ですが、コンビニやスーパーで売っているダイエット関連商品で
『低糖質』『糖質カット』『糖質オフ』を謳った商品は良く見ますが
『低脂質』『脂質カット』『脂質オフ』を謳った商品はあまり見たことがありません。
また、外食先のメニュー表示では『糖質の量』や『カロリー』表記はよく見ますが
『脂質』表記は見たことがありません。私がたまたま見ていないだけですか(・o・)?
さて私の疑問はここまでにして、ダイエットといえば『糖質を制限した方法』が人気のようですが
その方法の代表『ケトジェニック・ダイエット(以下「KD」)』についてお話しようと思います。
《目次》
ケトジェニック・ダイエットって何?
→KDとは高脂質・低糖質の食事をとるダイエット方法です。
(低糖質ダイエットの中の1つです)
KDの効果を簡単に言いますと
『身体の脂肪を燃焼しやすい状態(脂肪を主要なエネルギー源にする)』にします。
しかしこの方法は、ただ単に『脂質を沢山摂って、糖質は摂らない』といった
単純な方法ではなく徹底した管理・制限が必要で、個人的見解としては初心者の方が一人で行うと 失敗する可能性(減量できない・増量してしまう・リバウンドしてしまう・身体を壊す) が高いダイエット方法の1つだと考えます。 |
ケトジェニック・ダイエットが難しい理由
身体を動かす主要なエネルギーは”脂質ではなく糖質”です。
その糖質を摂取しないようにすると、身体から主要エネルギーがなくなります。
そうすると身体は別の方法でエネルギーを作り出そうとします。
①主要エネルギー『糖質』の代わりに『脂質』を”ケトン体”に変換します。 |
②このケトン体をエネルギーとして利用するためにまた変換します。
→この時、はじめて脂肪からエネルギーとして利用することができます。 ※この状態を『ケトーシス』と言います。このケトーシス状態になるには個人差がありますが約3~14日かかると言われています。 |
しかし、このケトン体をエネルギーとして変換することができるのは主に『脳』『心臓』『筋肉』です。
そのため、普段から運動不足の方、筋肉量が少ない方は、KDが上手くいかない可能性が高いと考えます。
また、しっかりと脂質をとって、糖質を徹底的に管理しないとKDの効果は得られません。
糖質を摂るとケトーシスがリセットされてしまい、またその状態になるまでに期間を要してしまいます。
ケトジェニック・ダイエットのメリット
『”短期間”で痩せる事ができる』
『痩せる』ことだけに特化するのであればKDは有効な方法です。
また、『いついつまでに痩せたい』と、明確な期日がある方にもKDは向いています。
●減量の速度が脂質制限ダイエットよりも早い
(その他にも、がん、てんかん、認知症、2型糖尿病などの治療効果が”示唆”されています)
ケトジェニック・ダイエットのデメリット
●『食べる物、飲む物、調味料などに含まれる糖質の量』を徹底管理しなければならない。
●糖質分を脂質で摂る必要があるので、思っている以上にお金がかかる。
●偏った食事による副作用(通年で行うのは:✖/期間限定でおこなう:○)
●脂質ならどれでもいいわけではない。
脂肪を構成する要素である脂肪酸:『飽和脂肪酸』『不飽和脂肪酸』に分類される。
飽和脂肪酸(バター、肉の脂、マヨネーズなど)ばかりではなく、不飽和脂肪酸(魚、MCTオイル、クルミなど)も摂る。
●体脂肪率10%前後だとKDは落ちにくい(停滞期を打破し辛い)
ケトジェニック・ダイエットのリスク
【短期間KD:可能性のあるリスク】特に始めたばかりに生じやすい。
無気力感
むかつき感 吐き気 呼吸機能の低下 意識の低下 脱水症状 など |
【長期間KD:可能性のあるリスク】
悪玉コレステロールの増加
ミネラル欠乏 など |
【代表的な症状】
アシドーシス
高尿酸血症 腎臓結石 尿結石 など |
その他にもKDは、運動も併せて行わないと筋肉量を減少させてしまうリスクがあります。
それにより基礎代謝が落ちます。継続できなくて、リバウンドした場合は
ダイエット前よりも基礎代謝は落ちているので、痩せづらい身体になっています。
またKDは死亡リスクを上げることが示唆されています。
●食事に占める炭水化物の割合が3割以下の場合、死亡率が高い。
●高糖質と比べて低糖質の方が、心疾患や腎臓病を含む死亡率が31%高かった。
ケトジェニック・ダイエットの方法
①1日の総摂取カロリーを決める。
②総摂取カロリーのPFCバランスを調整する。
P(たんぱく質) | 全体から”F”と”C”を引いた量 |
F(脂質) | 総摂取カロリーの60~70% |
C(糖質) | 1食20g以内(トータル50~60g)
または総摂取カロリーの5~10% |
※あくまで一般的な基準になるので、多少の前後差はあります。
③脂質とたんぱく質の”質”に注意する。
●脂質:良質な脂を摂る(魚の脂、ナッツ類など)。
●たんぱく質:ロイシンやバリンを中心に摂る。BCAAに置き換えてもいいです。
短期間KDでのリスクでも挙げた症状が出た場合、それを緩和するために
海藻・キノコなどのアルカリ性食材を摂ると軽減しやすいです。
また水分摂取を多めにしてください。
ケトジェニックをはじめる前に
KDが向いている体質・向いていない体質があるため
まずは副作用の観点も踏まえて【2~3カ月程度】の試用期間を設けてください。
また、持病のある方は必ず医師に確認をとってから行ってください。
ここまでKDについてお話をしてきましたが
たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなど
全て身体にとって重要な栄養素ですので
偏った栄養管理は健康上オススメはできません。
『どうしてもいついつまでに痩せなきゃ駄目なんだ!』と、なにかしらの理由が無い限りは
消費・摂取カロリーや各栄養素を適切に調節したダイエット方法が望ましいです。
投稿者プロフィール
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RE-ALL FITNESSの栄養コンシェルジュ兼トレーナー
理学療法士であり『栄養学』に取り憑かれた男。もとは体重49kgのガリガリ。体重を増やすため過食。食道ヘルニアとなり挫折。そこから栄養の道へ進む。現在は10kg以上の増量に成功し、パワーリフティング選手として大会へ出場している。
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