減量中の停滞期はなぜ起こる?

減量中、順調に体重が減っていたけど、突然横ばいに。

ある一定の重量までは減るけど、それ以上は減らない。

減量では途中で壁にぶつかることは、よくある現象です。

今回は減量中に起こる停滞期がなぜ起こるのかを理解して、停滞期の向こう側にいくための対策を食事の面に焦点を当てて紹介させていただきます。

消費カロリーと摂取カロリー

減量の大大大原則は

[総摂取カロリー] < [消費カロリー]

当たり前であり、これで完結してしまう話ですが、消費するカロリーより摂取するカロリーが多かったら体重は減りません。

「体重が減りません。なぜですか?」

『消費する量より、日々食べているからです』

◯◯ダイエット、◯◯法と数々の減量方法が世に出ていますが、大前提はこれだけの話です。

当然、減量のし初めと停滞期が起こる頃では減量するための総摂取カロリーは変わっています。

そのため、横ばいになる場合は今までの総摂取カロリーを見直してください。

筆者の考えとしては2週間~1ヶ月程度で総摂取カロリーの定期的な見直しをするのが良いでしょう。

以下をご参照ください。

PFCバランス

PFCバランスとは

  • P=タンパク質
  • F=脂質
  • C=糖質

P、F、Cは身体をつくるために特に必要な栄養素で、このバランスを適正化することで効率的にボディメイクをする考え方の一つです。

《PFCバランスの求め方》

【用意するもの】
電卓/紙/ペン

《Step1: 除脂肪体重を求める》
➡体重ー(体重✕体脂肪率)=除脂肪体重(kg)
例)80kgー(80✕25%)=60kg

《Step2: 1日の摂取kcalを求める》
➡除脂肪体重✕22〜44=摂取kcal
●40〜44の場合:増量期
●22〜30の場合:減量期、ダイエット
例)60kg✕22=1320kcal

《Step3: 脂質量を求める》
➡摂取kcal✕0.1〜0.2=脂質のkcal
➡脂質のkcal÷9=脂質量(g)
例)1320kcal✕0.1=約132kcal
132kcal÷9=約14g

《Step4: タンパク質量を求める》
➡除脂肪体重✕2〜3=タンパク質量(g)
➡タンパク質のkcal=タンパク質量✕4
例)60kg✕3=180g
180g✕4=720kcal

《Step5: 糖質量を求める》
➡摂取kcalー(脂質kcal+タンパク質kcal)=糖質のkcal
➡糖質のkcal÷4=糖質量(g)
例)1320kcalー(132kcal+720kcal)=468kcal
468kcal÷4=約117g

P=180g
F=14g
C=117g

上記のPFCを朝食、昼食、夕食、どこかで間食の3~4回程度に分けて摂取する。

減量と恒常性

減量において、[総摂取カロリー]<[消費カロリー]が大前提という話をしましたが、その条件を満たしているのに減らないケースも多々あります。

「話が違うじゃないか、コラ!」

ちょっと待ってください。

これには生体恒常性(ホメオスタシス)が強く関わっているのです。

生体恒常性(ホメオスタシス)

生体恒常性(ホメオスタシス)とは、体内の環境を常に一定に保とうとするメカニズムのことです。

遥か昔、人類は狩りを行い、生きていくために必要な食料を確保していました。

現代のようにコンビニやスーパーは当然なく、食べたい時に食べられる環境ではありません。

それでいて、身体が栄養で満たされる時は少ないにも関わらず

十分な装備のない中で過酷な狩りをしなければ生命の維持はできません。

そのような環境に長くいた人類は

【生きるうえで必要な活動以外は無駄にエネルギーを消費しない】ように進化していったわけです。

そのため、減量により体重減少が起こると、人体は飢餓状態だと感知して、減らした分の体重を元に戻そうと、体重が落ちないように生体恒常性が働きます。

また、この時にエネルギーを摂取させようと食欲促進にも働きかけます。

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停滞期の判断

  • 体重の減り方が横ばいになった。
  • 見た目が変わらない(例:腹囲に変化がない)。
  • 体調をよく崩すようになった。 など

こういった場合には、停滞期に入ったと考えてよいでしょう。

また、体調をよく崩すようになったと感じた場合は生体恒常性による停滞が考えられ、今起き始めている身体症状が更に悪化するリスクが非常に高いため、早期に計画を見直してください。

身体が資本です。

停滞期を乗り越えるために

①摂取カロリーを見直そう。

体重が変化すれば基礎代謝量も変化します。先述したPFCバランスを参考に再計算してみてください。

②チートデイを取り入れる。

チートデイとは停滞期が起きたときに超短期的に行う食事テクニックの1つです。

一般的には糖質(特にブドウ糖)を中心に摂取量を増やす方法のことを指します。

【目安量】

体重(kg)✕4~6(g)の糖質を1~3日間、続けて摂取します。

※既定の総摂取カロリーは同じです。PFCバランスのみを変えてください。

この方法は個人差があるため、上記の糖質量や日数を基準として、自身に合う方法を試してください。

また、ローファット・ダイエット(低脂質ダイエット)やローカーボ・ダイエット(低糖質ダイエット)、どちらの方法で減量を行っていても、上記の基準値は変わりません。

ちなみに、チートデイを取り入れなくても、ローファット・ダイエットとローカーボ・ダイエットを切り替えてあげるだけでも停滞期の突破が見込めるとも言われています。

※注意※

チートデイでは多量の糖質を摂取するため、一時的に体重の増加があるかもしれませんが、あくまで一時的なものです。

上手く減量が出来ていれば、その後の停滞期の突破が見込めます。

また、極端なローカーボ・ダイエット時におけるチートデイでは身体に大きな負担がかかるため、短期間で大幅な体重減少を目標としていない場合、個人的意見としてはあまりオススメできません。1~3日間(もしくは更に長い期間)で徐々に糖質量を上げる”移行食”を挟むことをオススメします。

移行食については→『ケトジェニック・ダイエット』終了後の食事

※減量を始めて数日、数週間で体重が減らないから「チートデイだ!」と言って、自身の食欲に負けてチートデイと言う名の暴飲暴食をするのはNGです。その体重が減らない原因の殆どは「消費する量より食べいているから」です。チートデイは減量に対して相当な努力を行っている方が行えるカードだということを覚えておいてください。

さいごに

停滞期の判断として”体重”の減少がわかりやすいため、判断基準として重きを置かれがちですが、筆者としては”見た目”(例:腹囲の変化)の変化に重きを置いてほしいと考えます。

当ジムでは食事だけでの減量は勧めていません。

減量を始める=運動+食事

ということを前提でお話をすると、運動を始めた最初の1年は特に筋肉量は増えやすいため、体脂肪は減っていても筋肉が増えていることで、体重の減少が見えづらいためです。

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投稿者プロフィール

Yosuke Honjo
Yosuke Honjo理学療法士
RE-ALL FITNESSの栄養コンシェルジュ兼トレーナー
理学療法士であり『栄養学』に取り憑かれた男。もとは体重49kgのガリガリ。体重を増やすため過食。食道ヘルニアとなり挫折。そこから栄養の道へ進む。現在は10kg以上の増量に成功し、パワーリフティング選手として大会へ出場している。

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