『ケトジェニック・ダイエット』終了後の食事

『ケトジェニック・ダイエット』とは?では

ケトジェニック・ダイエット(以下「KD」)についてご説明しました。そして、そこで

KDは健康面において通年行うことはオススメできない。短期的に行うべき方法とまとめました。

今回はKD(低糖質食)を一定期間行い、その後

糖質中心の食事(脂質量を減らす)へ戻す場合に、間に挟むと良い

移行食についてお話させていただきます。

※低糖質食:たんぱく質・脂質・糖質の割合で、糖質が全体の約5~40%を占めることを低糖質食と定義します。

KD後の移行食は必要なのか?

『健康』という観点から考えるとKD後の移行食は必要と考えます。

KD(低糖質食)期間が終了して、直ぐに糖質中心の食事に戻した場合

以下の影響があげられます。

急激に血糖値が上がる(血糖スパイク[グルコーススパイク])ことによる身体への影響

脂質から糖質へエネルギー回路が切り替わることによる身体への影響

などの影響が、身体への負担となることが予想されますが

その中でも特に血糖スパイクには気をつける必要があります

 

血糖スパイク(グルコーススパイク)とは?

血糖スパイク(グルコーススパイク)とは、血糖値の急激な変動のことを指します。

KD(低糖質食)を実施すると、低血糖状態が続きインスリン(1/2)の分泌量が減ります。

そのためホメオスタシスの影響により、身体のインスリン分泌速度が低下します。

その状態でKD(低糖質食)終了直後から糖質中心の食事に戻すと、身体は

急激な血糖値の上昇にインスリン分泌が追いつかず高血糖状態になります

高血糖状態が長く続いたり、血糖スパイクを繰り返すと以下のリスクがあります。

●短期的:眠気/空腹感/頭痛など

●長期的:動脈硬化/糖尿病など

以上のことでもKDの長期的な利用はオススメできません。

そして、短期的なKD(低糖質食)が終了したあとに移行食をすすめる理由もこれになります。

 

『移行食』の方法

KD(低糖質食)の程度(1日の総摂取kcalの中で糖質は何%に制限していたか)

また実施していた期間により異なります。

Ⅰ.軽い糖質制限(20-40%)だった場合

●移行期間:2~0日

※具体的な糖質量の調整は下記「 【方法例】」参照してください。

Ⅱ.ケトジェニック(5-10%)だった場合

●移行期間:7~5日

⇨移行日数に応じて均等に増やす。

 

【方法例】

KD(低糖質食)中の1日の糖質量は30g

移行後は糖質量を300gにしたい

差は270g

《5日の移行期間を設ける場合》

270g÷5日=54g⇨1日あたり54gずつ糖質摂取量を増やす。

【注意点】

●高GIの糖質は避ける(GIについてはコチラ

●4~5食に分ける

⇨緩やかに血糖値を上げるために1食分の量を制限する。

●インスリンの材料および反応を高める効果をもつ栄養素を摂取する


Ⅲ.ディプリート(ほぼ0%)だった場合

※以下の内容はボディビルやフィジークなどのコンテストに出ている方向けです。

●移行期間:1~0日

Q.ケトジェニックでは7~5日の移行期間を設けたのに

ディプリートという、殆ど糖質を摂らない方法のほうが

なぜ移行期間が短いのか疑問に思ったでしょうか。

A.ディプリートは、ボディビルやフィジークなどの選手が徹底的に体脂肪を減らして

薄皮一枚にするために行うケースが多く、そもそも健康面は気にしていません。

【注意点】

・高GIの糖質を優先して摂取する

・5食以上に分けて摂取する

・インスリンの材料および反応を高める効果をもつ栄養素を摂取する

・塩分と水分の摂取には注意 ※1

・タンパク質の摂取量を場合によっては減らす ※2

[補足]※1

これは、ボディビルやフィジークのコンテストに出て、水抜き・塩抜きをしている方が前提です。

⇨ディプリートをしたことで通常より糖質を身体に取り込みやすい状態にある。

⇨糖質には身体に水を引っ張ってこようとする性質がある。また糖質食には多少なり塩が含まれる。

⇨その結果、必要以上に身体に水分が入り、カットのない浮腫みになる。

⇨塩を摂りすぎると、水を取り込む量が増えるため、水分コントロールが難しくなり”張り感”が出にくい。

【塩を沢山摂る▶浸透圧によって血管に水分を取り込もうとする▶余分な水分により浮腫む▶張り感↓↓↓】

対策:『カリウム』を摂って不必要な水分を出す。

[補足]※2

ディプリートはあくまで糖質オフからの糖質オンで適度な水分とグリコーゲン補充により

より筋肉のパンプアップを出そうというものです。

⇨身体の中では糖質代謝の機構を働かせ筋肉に栄養を届けやすい状態にしたい。

⇨たんぱく質の中には”ケト原生アミノ酸”が含まれており、それを代謝する過程で

糖質代謝を少し阻害する(邪魔する)可能性がある。

⇨ディプリートでは、たんぱく質量を少し減らして糖質を取り込みやすくする環境を作る。

移行食で積極的に摂るべき栄養素

短期的(7-30日間)にKD(低糖質食)を行っていた場合

⇨マグネシウム/アルギニン/シトルリン/αリポ酸/亜鉛

(これらは主にインスリンの反応を高める効果をもつ栄養素です)

長期的(2-3か月)にKD(低糖質食)を行っていた場合

⇨亜鉛/ビタミンC/ロイシン/グリシン/アラニン/システイン

(これらは主にインスリンの材料となる栄養素です)

特に以下の栄養素は積極的に摂ってください。

【多く含む食品例】

亜鉛 牡蠣/たけのこ/舞茸/ほうれん草/豚レバー/高野豆腐
ビタミンC 海苔/ピーマン/芽キャベツ/ブロッコリー
マグネシウム 干しひじき/わかめ/アーモンド/納豆/ほうれん草
アルギニン 大豆/マグロ/鶏卵/うなぎ/にんにく

 

投稿者プロフィール

Yosuke Honjo
Yosuke Honjo理学療法士
RE-ALL FITNESSの栄養コンシェルジュ兼トレーナー
理学療法士であり『栄養学』に取り憑かれた男。もとは体重49kgのガリガリ。体重を増やすため過食。食道ヘルニアとなり挫折。そこから栄養の道へ進む。現在は10kg以上の増量に成功し、パワーリフティング選手として大会へ出場している。