【保存版】メタボリックシンドロームの運動ガイドライン

ご覧いただきありがとうございます。

今回のテーマ

『メタボリックシンドロームの運動ガイドライン』

現代社会において「食事」という行為は簡単に行えるが故に

消費する量より、摂取する量が容易に上回ります。

その結果

『サイレントキラー』

メタボリックシンドローム(以下メタボ)の道へと進んでいくのです。

 

今回のテーマはとても長い記事(閲覧時間の目安5~8分)になりますが

老若男女全ての年齢層の方々に当てはまる内容ですので是非ご覧ください。

そしてこの内容をご家族やご友人にシェアしていただき

少しでも健康習慣の輪が広がることを願います。

1.はじめに ~運動習慣者の数を知る~

国民栄養調査では運動習慣者を
《週2回以上/1回30分以上/1年以上》運動している者としています。

そしてそれを実践できている者は《男性で30.9%/女性で25.8%》
習慣的に運動している人は日本全体で《約20%》
つまり日本人の大半は運動不足ということがわかります。

また、トレーニングやダイエットについて興味深い調査結果をみかけました。
筋トレの1年間継続率は《0.3%~4%》
・ダイエットが続かない理由で最も多い回答が『食事制限が続かない』

以上のことから
日本では《運動習慣がない》《運動が続かない》
そして《食生活を見直しづらい》という問題が見えてきました。

また、これは病院における調査内容ではありますが
『退院後の運動(自主トレ)を遵守できていない』と回答した方は全体の《72.2%》
そして1ヶ月以内に緩んだ人で最も多い理由が『時間がない』『面倒くさい』だったそうです。

それだけ運動習慣を身につけることと、食生活を見直すことはとても難しいということです。

2.メタボリックシンドロームを知る

【メタボリックシンドロームとは】
“内臓”肥満に高血圧・高血糖・脂質異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態です。

【メタボリックシンドロームの診断基準】
《腹囲:男性85cm以上/女性90cm以上》+《高血圧/高血糖/脂質異常》のいずれか2つが該当する。

 

Ⅰ.内蔵脂肪と皮下脂肪

メタボは《内臓脂肪型》肥満を指します。

そして皮下脂肪より内臓脂肪が多く蓄積されているタイプの肥満のほうが《生活習慣病(※1)》に罹患しやすい傾向にあります。
また、特に身体に悪影響を与えやすいのは《内臓脂肪》です。

40歳代~70歳代に調査した内臓脂肪型肥満の割合は
《男性で2人に1人》《女性で5人に1人》との調査結果があります。

※1.生活習慣病とは
生活習慣(食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなど)が原因で起こる疾患の総称です。
重篤な疾患(癌・脳卒中・心臓病など)の要因となります。

 

Ⅱ.どこまで進行していますか?

※レベルが9に近づくほど危険な状態です※
★:メタボの診断項目

レベル1 ★腹囲:男性85cm以上/女性90cm以上
レベル2 BMI:25以上
レベル3 高尿酸
レベル4 ★高中性脂肪
レベル5 高LDL(悪玉)コレステロール
レベル6 高ALT(GPT)
レベル7 ★高血圧
レベル8 高HbA 1c
レベル9 ★高血糖/★低HDL(善玉)コレステロール

 

Ⅲ.サイレントキラー「メタボ」を放置すると

毎日美味しい物を食べられたらとても幸せです。
飲食は人を「楽しい」「幸せ」な気分にしてくれます。
しかし、それは「適量」であればの話。

メタボだけでは無症状なので痛くも痒くもありません。
これがサイレントキラーと言われる所以です。
そして、ある日突然
●脳卒中
●心臓病(心筋梗塞など)
●《糖尿病》の合併症(透析・失明・切断)など
引き返す事のできない状態へと大きく進展します。

ここで出てきました《糖尿病》というワード。
広く知られているようで中身まではあまり知られていない《糖尿病》
少し掘り下げてお話をしていきましょう。

 

3.生活習慣病のエース『2型糖尿病』

糖尿病には1型と2型があり、その《95%以上が2型》です。
2型糖尿病を簡単にご説明すると《運動不足+肥満(食べ過ぎ飲み過ぎ)》が原因の生活習慣病です。
また《インスリン》というホルモンが正常に働かなくなることで重篤な病気を引き起こす要因となります。

 

Ⅰ.インスリンの仕事

膵臓で作られるホルモン《インスリン》は血糖値を正常に保つために日々仕事をしています。

食事をすると血糖値は上がります。
その時、インスリンが正常に機能していれば血液中の《糖》を必要なだけ細胞に取り込んでくれます。

しかし、常日頃から食べ過ぎ飲み過ぎの方の場合は徐々に
《インスリンの機能低下》ひいては《インスリンの分泌量低下》によって
血糖値を正常に保つことができなくなり、身体は高血糖の状態が続きます。

【高血糖で困ること】
ざっくり言えば何も困りません高血糖は無症状だからです。
これが高血糖の一番怖い《無症状という名の症状》です。
この状態が続くことで糖尿病を引き起こし、ある日突然、脳卒中や心臓病などの重篤な病気になるかもしれません。
その結果、日常生活に多大な活動制限を起こしたり、最悪の場合死亡してしまうリスクもあります。
それほど、高血糖という症状は怖いのです。

 

Ⅱ.高血糖、糖尿病の方が運動をすべき理由

血中の糖を細胞に取り込む方法は2つあります。
それは《インスリン依存性糖取り込み》と《インスリン非依存性糖取り込み》です。

【インスリン依存性糖取り込みの場合】
文字通りインスリンが働くことで血中の糖を細胞に取り込む方法です。
先述したとおり、糖尿病の方の場合、これが上手く働きません。

【インスリン非依存性糖取り込みの場合】
文字通りインスリンに依存せず血中の糖を細胞に取り組む方法です。
これが《運動をすることで活性化できる》のです。
インスリンが上手く働かなくなった糖尿病の方でも運動をすることで、この働きを活性化することができます。

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【運動(筋肉)で消費される「糖」の量は安静時と比較すると?】
・安静時と比べて《軽い散歩で約3倍》《ジョギングで約5~10倍》といわれています。

【糖尿病に関する運動効果は他にどのようなものがある?】
・運動後に筋肉のインスリン感受性が増えて血糖が下がった。
・定期的な運動で、糖を代謝する際に必要な《グルコース輸送担体》が2倍近く増えた。

 

4.メタボから脱却すべき理由

重要なことなので何度もお伝えしますが《メタボでいること自体は無症状》です。
何も生活で困ることはなく、毎日好きなだけ食べて飲むことができます。
そこがサイレントキラーと言われる所以です。
放置すればいずれ引き返すことのできない重篤な病気を引き起こすかもしれません。

 

Ⅰ.メタボから脱却すべき理由①

【第1の理由】
『肥満者の多くが複数の危険因子を併せ持っている』ことです。

肥満のみの方は全体の《約20%》
肥満と併せていずれか1疾患を有病している方が《約47%》
肥満と併せていずれか2疾患を有病している方が《約28%》
肥満と併せて3疾患すべて有病している方が《約5%》

 

Ⅱ.メタボから脱却すべき理由②

【第2の理由】
『危険因子が重なるほど脳卒中や心臓病を発症するリスクが増大する』ことです。

危険因子(肥満/高血糖/高血圧/脂質異常)の保有数に比例して脳卒中や心臓病になるリスクは増大していくことがグラフからご理解いただけると思います。

ここでよく見て頂きたいのは発症危険度の単位は「倍」ということです。
たった1つでも5倍。3~4つあれば約40倍です。

 

Ⅲ.メタボから脱却すべき理由③

【第3の理由】
『生活習慣を変え、内臓脂肪を減らすことで危険因子のすべてを改善する必要がある』ことです。

私がリハビリ業務に従事していたころ糖尿病の方の運動指導にとても多く携わってきました。
そこで多く聞かれた言葉が『私は薬を飲んでいるから大丈夫』です。
先述した危険因子をもっている方は、血圧を下げる薬や血糖を下げる薬などを服用されていることが殆んどです。
決して勘違いしてはいけないこと。それは上図から読み取れるように、お薬は氷山の一角を削っただけであり、見えない部分(原因の大元)は残っているということです。

 

Ⅳ.諦めてほしくない理由①

ここまで一貫して怖い話をしてきましたが、実はメタボの初期段階であれば早期に症状の改善が見込めるケースが多いです。
その理由がメタボ(内臓脂肪型肥満)の問題である内臓脂肪の特徴です。
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※内臓脂肪は皮下脂肪と比べて《たまりやすく、落ちやすい》脂肪
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ここで当ジムのお話になりますが、メタボや、高血圧、高血糖などの危険因子のあるお客様が運動と適切な食事管理を行った結果、次の血液検査で殆どが適正値に戻っていたことや、私がリハビリ業務に従事していた頃にもこのようなケースは多々ありました。
『もう手遅れだ』と思わず、出来る限り早期に手を打つことが重要です。

 

Ⅴ.諦めてほしくない理由②

【どっちが健康でしょうか?】
●運動習慣のある肥満体型の方
●運動習慣のない普通体型の方

どちらが健康でしょうか?

ある研究では運動習慣のある肥満体型の方のほうが、普通体型でも運動習慣のない方よりも《圧倒的に》病気の罹患率や死亡率が低かったとのことです。

【「今」食欲に支配されていても】
運動は出来ても食生活を見直せない方が多くいます。
それは肥満の方は《満腹を知らせるホルモンを感じにくい状態》にあるので、普通体型の方と比べて《空腹感をより強く、頻繁に》感じてしまいます。
しかしこれは《運動をすることで改善される》ことがわかっています。

 

5.運動を「選択しない」リスク

ここまで、メタボでいることが身体にどのようなリスクを生じるかお話してきました。
では、それ以外で「運動をしない」ことで起きうるリスクを述べていきます。

【運動をしないというリスク】
①安静状態ではインスリン依存性糖取り込み及びインスリン非依存性糖取り込みの機能が低下する。
②1日2時間以上安静状態でいる方は肥満や2型糖尿病、そして脳卒中や心臓病を生じるリスクが高い。
(※活動的な人であっても例外ではない) など

【運動習慣のない方の死亡率】
これは主にご高齢の方に向けての話になります。
《歩行速度》や《脚の筋力》は死亡率の関連性が高いことがわかっています。

①歩行速度と死亡率の関連性
65歳以上を対象とした研究では8年後の死亡率として歩行速度に改善がみられなかった群では改善のあった群と比べて死亡率が高かったことがわかっています。

②脚の筋力と死亡率の関連性
約74歳を対象とした研究では脚の筋力が弱い方は、弱くない方と比べて死亡率が約2倍近く高かったことがわかっています。

 

Ⅰ.運動”だけ”を選択するリスク

【運動だけすれば脂肪は減りますか?】
残念ながら必ずしもそうではありません。
運動の有無に関わらず体重(脂肪)の減少には《食生活の改善が必要》です。
しかし運動習慣を身につけることでLDL(悪玉)コレステロールの値があまり減らなくても
血管をつまらせる血栓が《起きづらい》コレステロールに変化し脳卒中や心臓病のリスクが減ります。

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運動習慣+食生活の見直し=メタボからの脱却
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6.”痩せてみえる”が一番怖い?その名も《サルコペニア肥満》

一見《痩せて見える方》はとても多いですが、肥満体型の方と比べて《自覚し辛い》という面では逆に怖い。
それが《サルコペニア肥満》です。

【サルコペニア肥満とは】
サルコペニアとは老化による筋肉量の低下、筋力の低下が起きている状態です。
これに肥満が同時に起こる疾患を《サルコペニア肥満》と言います。
※サルコペニアまたは肥満どちらかを単独に発症するケースよりも、サルコペニア肥満の方が有病率や死亡率は非常に高いです。

 

Ⅰ.サルコペニア肥満が身体に与える影響

【サルコペニアが身体に与える影響】
筋萎縮によって日常生活動作(歩く・立つ等)に制限が出てきます。

【肥満が身体に与える影響】
・たんぱく質の合成反応が低くなります(筋肉がつきづらくなります)。
・たんぱく質の分解反応が高くなります(筋肉が分解されやすくなります)。
・筋肉組織に脂肪が入り込み、筋力の低下を起こしやすくなります。

 

7.さいごに ~今ならまだ引き返せる~

メタボの怖さをご理解いただけましたでしょうか。
メタボの症状がどんどん進行していけば好きな物が食べられなくなる日も来るかもしれません。
また、旅行や趣味なども自由に行えなくなるかもしれません。

それでも『メタボ』の道を突き進み続けますか?

 

【今ならまだ引き返せる】
上図をご覧ください。
今、どのレベルに位置しているでしょうか?
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●レベル1:不健康な生活習慣
・不適切な食生活
・運動不足
・喫煙
・過度な飲酒
・過度なストレス

●レベル2:レベル5までの旅がスタート
・肥満
・高血圧
・高血糖
・脂質異常

●レベル3:最後の警告
・肥満症(特にメタボ)
・糖尿病
・高血圧症
・高脂血症

●レベル4:発病
・虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症など)
・脳卒中(脳出血・脳梗塞など)
・糖尿病の合併症(失明・人工透析など)

●レベル5:生活の質が急激に低下
・半身麻痺
・日常生活の制限
・要介護状態
・認知症
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ここまでご覧いただきありがとうございました。
皆様の健康習慣の定着に少しでも役立つ情報になれば幸いです。
またメタボや、その他関連疾患でお悩みでしたら是非一度ご相談ください。

 

投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。