なぜ体脂肪はつきやすいのか。
前回の投稿「食欲を抑えるホルモン「レプチン」」の補足になります。
飢餓(体脂肪減少)は生命を脅かすものであるため、身体にはそれを防ごうとする働き(体脂肪を増やそうとする働き)が充実しています。逆に体脂肪を減らそうとする働きは充実していません。
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恒常性とダイエット
痩せていくにつれて、強い意志とは裏腹に体重を戻そうとする身体の働き。
人の身体には下図のように、バランスが崩れたら元の位置に戻そうとする働きがあります。
これを「恒常性(ホメオスタシス)」といいます。
わかりやすい例でいうと体温や血糖です。
体温が下がったり、上がったりすると汗が出たり、身体を震えさて平熱を維持しようとします。
また、血糖値が下がれば空腹感が出て、上がれば満腹感を出して血糖値を安定させます。
では、肝心のダイエットではどうでしょうか。
ダイエットで体重が減少すると恒常性は強く働きます。
しかし、体重の増加に関しては恒常性は働きません。
その理由は「食欲を抑えるホルモン「レプチン」」でもお話した通りです。
リバウンドは、なぜ起きる
体脂肪の減少には時間がかかります。
体重減少のはじめは水分の減少から始まります。
その後にも長い期間、ダイエットを継続することでようやく体脂肪が減少していきます。
また、急激な体重減少が起きると恒常性の機能が働き、身体は体脂肪を蓄えようとする状態に切り替わります。
そのため、短期間で急激な体重減少を狙うようなダイエットでは、リバウンドがより生じやすくなります。
しかし、長期的にダイエットを継続できていても、体脂肪を蓄えてしまう仕組み(罠)が沢山あります。
体脂肪を蓄えてしまう仕組み
例①)レプチン抵抗性
食事をすると、レプチンの働きで満腹感を感じ、食欲がおさまります。
しかし、過食によって体脂肪が蓄積されていくと、レプチン抵抗性(レプチンの働きが弱まった状態)によって満腹感を感じにくくなり、過食に拍車がかかります。
例②)肥満=炎症状態
体脂肪が増えすぎると、身体は炎症状態になります。
この炎症状態になると「糖」を細胞に送り込む機能が低下し、エネルギー消費効率が下がり、体脂肪分解抑制、さらに体脂肪を蓄えやすい身体になります。
例③)高インスリン血症
習慣的に「糖」を過剰に摂取しているとインスリンの働きが弱くなり、より多くのインスリンを分泌するようになります。
この状態を「高インスリン血症」といいます。
この状態になると、糖質を筋肉などのエネルギー消費が多い部分へ送らずに、体脂肪として蓄積するようになります。
例④)糖質・脂質中毒
中毒化(いわゆる”別腹”)が関係している食欲があります。
糖質や脂質が多量に入った食品を食べると(揚げ物やお菓子、ジャンクフードなど)、脳内で「美味しい!」という快感が与えられます。
このような快感によって、その行動が強化されていく仕組みを「報酬系」といいます。
この報酬系は、過食を繰り返していると反応が鈍くなります。
鈍くなると今までの量では物足りず、更に多くの糖質や脂質を欲するようになります。
体型維持の難しさ
ダイエットを成功(継続)させるには、体重を減少させた後の”体重を維持している期間”が重要だと言われており、少なくとも1ヶ月は体重を維持させることが必要と言われています。
ある研究では減らした体重を2年間維持させると、リバウンドのリスクが50%低下するとの報告があります。
2年間が長いと思うかもしれませんが、そもそもダイエットは点ではなく線です。
つまり体型維持のための運動や食事に対するモチベーションの強弱はあると思いますが、ダイエット自体に終わりはありません。
また、生活習慣病のリスクのある方、その傾向にある方は、ダイエットは期間限定ではなく生涯継続が基本です。
さぁ、あなたはどちらの未来を選びますか?
投稿者プロフィール
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RE-ALL FITNESSの栄養コンシェルジュ兼トレーナー
理学療法士であり『栄養学』に取り憑かれた男。もとは体重49kgのガリガリ。体重を増やすため過食。食道ヘルニアとなり挫折。そこから栄養の道へ進む。現在は10kg以上の増量に成功し、パワーリフティング選手として大会へ出場している。
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