肩が痛い時にやるべきトレーニングとストレッチ

肩の痛み

日常生活の症状:腕を挙げると肩が痛い、手をつくと肩が痛い、寝ていると肩が痛い、腰を掻こうとすると肩が痛い 等
筋トレ中の症状:ベンチプレスで肩が痛い、オーバーヘッドプレスで肩が痛い、鉄棒にぶら下がると肩が痛い、ディップスで肩が痛い 等

日常生活や筋トレ中の肩の痛みは本当に厄介で煩わしいです!!

この肩の痛みは軽度であれば、その殆どが”安静”で症状が落ち着くので放置しがち。

それが全ての始まりです。

肩の痛みは繰り返しやすく、はじめは炎症程度の痛みで済んだものの、繰り返し痛めることで、次第に筋肉や靱帯、関節などの形態自体を変化させて、より治りづらい慢性的な痛みを作り出す結果となってしまいます。

 

今回はその”肩が痛い時”に安静ではなく根本改善に向けてやるべきトレーニングとストレッチをご紹介します。

(今回はその方法の紹介のため、肩痛の原因や発生のメカニズムなどに関しては省略します)

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肩の痛みと関連性の高い部位

肩の痛みの発生要因として関連性の高い部位は4つあります。

①前鋸筋

②僧帽筋(下部線維)

③小胸筋

④関節包(後方)

『①と②』は筋力の強化

『③と④』は柔軟性の向上

を図ることが肩の痛みの根本解決に繋がります。

(①~④の解剖や機能的役割については割愛します)

トレーニングとストレッチの方法(動画)

先に方法の動画をご覧いただくことで、この後にご紹介するトレーニング、ストレッチの方法をイメージしやすくなります。

肩痛改善トレーニング

可能であればセラバンドをご用意ください。

セラバンドは”抵抗力の段階”があるので強いものではなく弱いものをご用意ください。

長さはご自身の脚の長さくらいあれば十分です。

前鋸筋の強化方法

Ⅰ)セラバンドを使用した方法

①椅子に腰掛けて、後ろ手にセラバンドを両手で持ちます。

②”小さく前ならへ”のポーズをとります。

③痛めている側の腕を“可能な限り前へ突き出します”

④セラバンドのテンションが完全に弱まる手前まで戻して【③↔④】の動作を繰り返します。

※セラバンドのテンションが弱い場合は更に短く持ってください(強すぎも×)。

⚫セット:3~5セット

⚫回数:20回以上

⚫頻度:週3~5

 

【注意点】

前鋸筋の強化の場合、“肩甲骨をしっかり外側に開く”ことが重要で、開いていない場合は前鋸筋は上手く働いていません

下図のようにしっかりと肩甲骨を外側に完全に開ききるまで腕を前へ突き出してください。

動作に慣れ、痛みがない場合は少しずつ腕の挙げる高さを上げていってください。

 

Ⅱ)セラバンドがない場合

①壁の前に離れて立ちます。

②肩を痛めている側の手で、壁により掛かるように手を付きます。その際に、肩甲骨は内側へ寄せてください。

③内側に寄った肩甲骨を今度は外側に開くように壁を押し出してください。【②↔③】の動きを繰り返す。

※手から肩までを真っ直ぐに伸ばして固定したら、身体を前後に動かすようにすると上手くできます。

※動作に慣れてきたら、腕立て伏せの姿勢(床に両手をつく)で行うのも良いです。

⚫セット:3~5セット

⚫回数:20回以上

⚫頻度:週3~5

 

僧帽筋(下部線維)の強化方法

Ⅰ)セラバンドを使用した方法

①セラバンドを椅子やテーブルなど、重くて動かないところに固定します。

②円を描くように万歳します。『Yの字』を意識してください。また、腕は体側より後ろ側にくるように万歳してください(痛みがある方は可能な範囲で腕を挙げて万歳動作をしてください)。その際に肘を曲げてはいけません。

③セラバンドのテンションが完全に弱まる手前まで戻して【②↔③】の動作を繰り返します。

※セラバンドのテンションが弱い場合は更に短く持ってください(強すぎも×)。

⚫セット:3~5セット

⚫回数:20回以上

⚫頻度:週3~5

 

Ⅱ)セラバンドがない場合

①うつ伏せに寝ます。顎を引いて、おでこを床につけます(動作中におでこが離れたり、顎が上がると腰の負担が増すため要注意)。

②痛みの出ない範囲で腕を頭上に挙げます(親指は天井側に)。『Yの字』をイメージしてください。

③腕を体側より後ろ側にくるように万歳してください(痛みがある方は可能な範囲で万歳動作をしてください)。その際に、肘を曲げてはいけません。

④床に手がつく手前で止めて【③↔④】の動作を繰り返します。

⚫セット:3~5セット

⚫回数:20回以上

⚫頻度:週3~5

 

注 意

上記2つの筋力低下が肩の痛みの主な発生要因ですが、痛める主な部位は別で、“腱板”と言われる所です。

その腱板を繰り返し痛めることで、その形態を変化(短くなる、動きが悪くなる、筋力が落ちる等)させてしまうため、発生要因となる2つの部位の強化と併せて、痛めている部位”腱板”も動かしてください。

【腱板トレーニング】

①鍛えたい側の腕を上にして横向きに寝ます。

②上側の腕を支えるために、下側の腕を垂直に立てます。

③下側の腕で上側の腕を支えます。

④肘の軸があまり動かないように、車のワイパーのようにして腕を持ち上げます(【③↔④】を繰り返す)。

下図ではボトルを持っていますが、痛めている側の腱板の筋力は落ちていることが殆どなので最初のうちは何も持たなくても問題ありません。

⚫セット:3~5セット

⚫回数:20回以上

⚫頻度:週3~5

 

肩痛改善セルフ・ストレッチ

肩の痛みに対してストレッチだけで済ませてしまうことはありませんか?

結論から述べますと、ストレッチ単体でも肩の痛みは軽減されますが”根本改善にはなりません”。

必ず上記のトレーニングと並行して行ってください。

小胸筋のセルフ・ストレッチ方法

①伸ばしたい側を壁側にして立ちます。

②肘、手のひらを壁にしっかり固定します。

③壁側とは反対側の方向へ身体をひねり、止まったところで静止して胸をストレッチします。

⚫セット:3セット

⚫時間:20~30秒

⚫頻度:週5~7

 

関節包(後部)のセルフ・ストレッチ方法

①伸ばしたい側の腕を下にして横向きに寝ます。

②下側の肩を90°曲げます。

③下側の肘を垂直に曲げます。手のひらを外に向けます。

④下側の手首をつかみます。

⑤車のワイパーのようにして床側に腕を倒して、止まったところで静止し関節包のストレッチをします。

※慢性的な肩痛のある方は、このストレッチは鋭い痛みが出る可能性が高いため、はじめは”ゆっくりと痛すぎない範囲”でストレッチしてください。

⚫セット:3セット

⚫時間:20~30秒

⚫頻度:週5~7

さいごに

身体の調子を整えるコンディショニング・エクササイズは地味でつまらないものなので、習慣化しづらく単発で辞めてしまうケースが多いです。しかし、薬や手術と違い即効性のあるものではないので『効果がないからやめた』と諦めず最低でも1~2ヶ月は継続してみてください。

 

また当ジムでは肩痛の改善も専門としてサポートさせていただいております。

肩痛に悩まれている方は是非お問合せください。

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投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。

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