ボディメイクと現在バイアス

夏休みの宿題

いつ頃、終わらせていましたか?

また、宿題を終わらせるためにどのような計画を立てましたか?

 

長い期間の休み

自由な時間

 

夏休みは子供にとって誘惑の連続です。

早く宿題を終わらせるために計画を立てたとしても、計画通りに終わらせるためには数多くの誘惑に打ち勝つための強い意志が必要となるでしょう。

なんだかボディメイクと似ていますね・・・。

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現在バイアスとは

ある調査によると、夏休みの宿題を終わらせたタイミングで最も多かったのは夏休みの後半や期日ギリギリだったとのこと。

宿題を計画的に終わらせていけば夏休みを満喫できることがわかっていても、毎年のように多くの子供たちは眼の前の誘惑に負けて、宿題を先延ばしにしてしまうのです。

これからわかるように、人間はある問題に対して解決を先延ばしにする傾向があります。

これを現在バイアスといいます。

現在バイアスとボディメイク

現在バイアスは、ボディメイクが続かない要因と密接に関係しています。

ある調査では筋トレの1年間継続率は0.3~4%

思い描く理想の自分になるためにボディメイクを始めたとしても、長期的な行動(筋トレや食事管理)によって得られる数々の報酬よりも、短期的な行動(筋トレを休んで遊ぶ、食事制限をやめて好きなものを食べる等)によって得られる報酬を人は、いとも簡単に選ぶのです

問題を先送りにして現在・未来の健康状態に不安や問題を抱えて、リスクの多い暮らしを選ぶか。

問題と向き合い現在・未来の健康状態をより良いものに保ち、リスクの少ない暮らしを選ぶか。

後者が良いとわかっていても、なかなか行動に移すことは困難です。

現在バイアスとコミットメント手段

ボディメイクは自分自身で管理していくことが理想ですが、現実はそう簡単ではありません。

自己管理が簡単なのであれば毎年のようにダイエット番組は放送されません。

なにせ今や入院患者の3人に1人は生活習慣病にかかっているそうです。

 

そこで、現在バイアスに負けないための方法(コミットメント手段)を紹介します。

難しい方法ではありません。むしろ原始的です。

①自分が立てた目標を変更できないようにする。

例)家族や職場の同僚、SNSなどに「◯月までに私はこうなる」と宣言・約束する。

《ポイント》

・期限を必ず設けること。

・長期的な目標設定ではなく、”短期的”で”現実的”な目標設定にする。

✖:1年後にー30kg痩せる。

✖:1ヶ月後にー30kg痩せる。

◯:1ヶ月後にー2kg痩せる(これを毎月設定し直す)。

②達成できなかった場合のペナルティを設ける。

例)宣言した目標が達成できなかった場合、家族や職場の同僚に◯◯をすることを宣言・約束する。

《ポイント》

・非現実的なペナルティもNGだが、簡単すぎるペナルティもNG

✖:失敗したら謝る。

✖:失敗したら車を買ってあげる。

◯:失敗したら1年間毎日皿洗いする。

◯:失敗したらお小遣いを減らす。

外的動機づけのリスクと現実

こういった制約(外的動機づけ)をつけることで得られた結果は、その制約がなくなった途端にリタイアしやすいという傾向があります。

悲しい現実ではありますが、ある調査で「退院後に、指導されたリハビリ(自主トレーニング)をやっていない」と答えた割合は70%以上。

そして、1ヶ月以内にやらなくなった人が答えた「やらなくなった理由」で最も多かったのは「時間がない」「面倒くさい」だったそうです。

身体のどこかに不調が出て入院した患者様でも退院後、その多くは不調を忘れてまた元の生活習慣に戻ってしまう傾向にあるのが現状なのです。

そう考えると身体に現在不調がない人がボディメイクを始めるということは、それ以上に難しいことが容易にわかります。

そういった場合は、内的動機づけを高めることが重要(詳細はコチラ)ですが、現在バイアスが強い傾向にある人に対してはある程度、外的動機づけ、つまり退路を断たせて現在バイアスが生じにくい状態をつくっていかなければ誘惑に負けやすいのも現実です。

 

夏休みの宿題を終わらせるタイミングはバラバラでも「終わらせられなかった」というのはごく少数です。

また仕事でも同様に「仕事を期日に間に合わせられなかった」ということも稀でしょう。

しかし、ボディメイクはコンテストに出るような目標がない限り期限はありません

期限がある夏休みの宿題でさえ、人は先延ばしにする傾向にあります。

期限のないボディメイクなら無期限に先延ばし出来ます。

これがボディメイクの難しさの一つなのです。

だからこそ外的動機づけと内的動機づけはセットで考えていかなければなりません。

 

現在バイアスに打ち勝つには、短期的な目標を少しずつ達成していきながら成功体験を繰り返し、ボディメイクが習慣化(ライフワーク)するまで現在バイアスのかかりづらい環境を自ら作っていくことが大事ですね。

投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。