食事制限で体重(体脂肪)が落ちないのはナゼ?

ダイエット経験者のなかで、食事制限をしているのに、なかなか体重(体脂肪)が落ちないという経験を多くの方がしているのではないでしょうか。

身体には筋肉や臓器などの細胞に必要となる、”糖”を運ぶ機能があります。

前述した経験をしたことがある方は、この糖を運ぶ機能が上手く働いていない可能性があります。

この糖を細胞に運ぶ機能が上手く働いてない場合、なぜ体重(体脂肪)は落ちにくいのでしょうか。

糖の運搬と代謝を促す者の正体とは

糖を摂っても細胞内で消費されれば、体脂肪に蓄積されることはありません。

この消費の過程を活性化させるのに重要な役割を担っているのが”インスリン“。そして後述します”AMPK”です。

では、まずその糖が細胞に運ばれるまでの流れを簡潔に説明します。

①糖質を摂取

②インスリンが分泌される

③インスリンが細胞に糖を運ぶ

この流れのどこかが上手く機能していない場合、細胞に糖が送られず(または不足して)、筋肉や臓器を動かすために必要となるエネルギー(糖)が行き渡りません。そうなると、行き場所を失った糖は大量に余ってしまいます。その余った糖は体脂肪に変換され身体に蓄積されてしまいます。

つまり、上記の流れ(①→②→③)を円滑に働かせることができれば、体脂肪の蓄積を防ぎ、減少に傾きやすい状態をつくることができます。

※以下の話は、糖尿病による影響でインスリンの機能が上手く働いていないケースを除きます。

①→②を円滑にする方法

①糖質を摂取→②インスリンが分泌される→③インスリンが細胞に糖を運ぶ】

この場所(①→②)が上手く働いていない原因の1つに”インスリン分泌量の不足”が考えられます。

そもそもインスリンを生産できるだけの栄養素が身体にない場合、いくら食事制限(糖質制限)をしても糖を処理してくれるインスリン分泌量が少ないため、糖が余り体脂肪へ変換されてしまいます。

《インスリンの”もと”となる栄養素》

《インスリンを働きやすい環境にする栄養素》

インスリンの”もと”となる栄養素、働きやすい環境にする栄養素、どちらも欠けてはいけない栄養素ですので食事制限(糖質制限)中は特に意識して摂ってください。

②→③を円滑にする方法

【①糖質を摂取→②インスリンが分泌される→③インスリンが細胞に糖を運ぶ

“AMPK”という酵素を活性化させることが、この場所(②→③)を上手く働かせる方法の一つと考えられます。

AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)とは

→細胞内のエネルギー状態(不足していないか)を監視し,その状態に応じて糖や脂質の代謝などを制御します。

《AMPKを活性化させるには》

1)糖を主なエネルギーとする無酸素運動(例:筋トレ)を積極的に行い、糖を消費する。

2)AMPKを活性化させる物質、アディポネクチンを活性化させる。

[アディポネクチンを主に活性化させる栄養素]

  • 大豆たんぱく質:30~40g/回(大豆/豆腐/納豆など)
  • EPA:約800mg/回(サバ/イワシ/マグロなど:主に青魚)
  • マグネシウム:340mg/回(ひじき/ワカメなど)
  • 緑茶カテキンの1つであるエピカロカテキンガレート(EGCg):400mg/回

※上記、栄養素を全て摂ることで活性化するわけではありませんので、どれか1つをお試しください。

3)レプチン(食欲抑制ホルモン)を活性化させる。※別記事でレプチンについてご紹介します。

AMPKは筋肉の合成を抑制する?

一説として、AMPKの活性レベルを常時高くしてしまうと、筋肉の合成を促す酵素(mTOR)の働きを抑制してしまうリスクが考えられます。

しかし、無酸素運動によるmTOR活性における筋肉の合成促進の影響とAMPKの常時活性によるmTOR抑制における筋肉の合成抑制では、筋肉の合成促進の方が勝ると言われてます。

そのため無酸素運動を習慣的に行っている方は、AMPKの活性レベルの高さについては気にしすぎる必要はないと考えます。

また前述した通り、AMPK自体も無酸素運動による糖の消費で活性化するので、筋肉の合成抑制について気にする必要はないと考えます。

さいごに

人によって体重(体脂肪)が落ちにくい原因は異なります。あくまで体重(体脂肪)を効率よく落とすための方法の1つとして参考にしてみてください。

 

投稿者プロフィール

Yosuke Honjo
Yosuke Honjo理学療法士
RE-ALL FITNESSの栄養コンシェルジュ兼トレーナー
理学療法士であり『栄養学』に取り憑かれた男。もとは体重49kgのガリガリ。体重を増やすため過食。食道ヘルニアとなり挫折。そこから栄養の道へ進む。現在は10kg以上の増量に成功し、パワーリフティング選手として大会へ出場している。