オーバートレーニングと筋トレ

筋力トレーニングを始めて目に見える結果がついてくると

週に1回だった筋トレが週に4回、5回と増え

30分だった筋トレ時間が1時間、2時間と増えるなど

モチベーションが上がって、筋トレに精が出ますよね!

 

そんな時にトレーニーが注意しないといけないのが

オーバートレーニング(オーバートレーニング症候群)

筋トレを頑張っているからこそオーバートレーニングを

『精神的なもの』と簡単にとらえていませんか?

オーバートレーニングとは

オーバートレーニング(over training)とは

過剰なトレーニングによって身体機能や競技成績が低下し

容易に回復しなくなる慢性的な疲労状態です。

 

それを理解するためにまず生体適応についてご説明します。

生体適応とは

筋力トレーニングを行うと、そのストレスに対して

適応しようとする現象生体適応が起きます。

その適応現象が筋力アップや筋量アップです。

生体適応は3段階に分かれます。

①警告反応期
Ⅰ.ショック相:例)筋トレを行った翌日、筋肉痛で力が出ない。

Ⅱ.抗ショック相:例)数日で筋肉痛が治って、いつも通りになる。

②抵抗期
例)筋トレによるストレスに対抗するために、筋力アップや筋量アップといった生体適応現象がおきる。
③疲弊期
例)回復力の範囲を超えて無理なトレーニングを続けた結果、筋力低下や筋量減少などパフォーマンスが低下する。

筋力トレーニングにおいて重要なことはこの『疲弊期』

つまりオーバーワーク状態を起こさずに警告反応期と抵抗期をうまくコントロールすることです。

オーバートレーニングの程度

オーバートレーニングは『軽症・中等症・重症』で種々の兆候がみられます。

軽症 日常生活には”大きな”支障はない。

負荷の低い筋トレはできるが負荷の高い筋トレはきつくなる。

症状:疲労感、倦怠感 など

★回復に必要なおおよその期間:2週間程度

中等症 日常生活でも疲れを感じる。

負荷の低い筋トレでもきつくなる。

症状:不眠症、食欲低下、体重減少、頭痛、集中力低下 など

★回復に必要なおおよその期間:2~3か月間

重症 日常生活もままならない。

トレーニングができない。

症状:うつ など

★回復に必要なおおよその期間:半年~1年間

※重症まで放置すると最悪の場合、復帰困難になります。

オーバートレーニングの主な症状

オーバートレーニングによって起きる主な”身体症状”は

疲労感、息切れ、食欲低下、体重減少、頭痛、発熱

パフォーマンスの低下(筋力低下)筋量減少などす。

“精神症状”は、うつ、やる気が出ない、イライラ、不眠、集中力の欠如など

※オーバートレーニングは身体症状だけではなく、精神症状も要チェックです。

オーバートレーニングの主な原因

筋力トレーニングでオーバートレーニングに陥る主な原因は

『強度』『ボリューム』と言われていますが

その中でも特に原因になりやすいのは

過剰に『ネガティブ動作(遠心性収縮)』を行った場合に注意が必要です。

ネガティブ動作(遠心性収縮)とは

ネガティブ動作(遠心性収縮)の具体例は

階段の下り、下り坂、ジャンプの着地

ベンチプレスの下ろす時、スクワットのしゃがみ込む時など

筋肉が力を入れながらも、引き伸ばされている状態を

ネガティブ動作(遠心性収縮)といいます。

このネガティブ動作を特に強調して行うトレーニングを

『ネガティブ・トレーニング』といいますが、やりすぎると

容易にオーバートレーニングに陥るので過剰に行ってはいけません。

筋トレ中の症状チェック

今の筋力トレがオーバートレーニングの場合、以下のような兆候がみられます。

・普段できている重量でトレーニングができない

(筋トレで扱う使用重量が大幅に低下する)

・運動後に嘔吐

・慢性的な疲労感

・その日の寝つき、目覚めが悪い

・運動終了後の息切れが、運動後10分以上続く

・運動終了後の心拍数が、運動後10分以降も『100拍/分以上』など

オーバーワークの予防方法

①休む

⇒疲れがとれていないと思ったら、まずは休みましょう。

②積極的休養(ディロード)

⇒トレーニングを完全に休むのではなく、負荷を大幅に落として軽い筋トレを行う。

③トレーニング計画をたてる(コーチングを受ける)

⇒最もおすすめな方法はこれです。冒頭でお話しした通り“生体適応を上手くコントロールしてオーバーワークに陥ることなく筋力トレーニングを進めていく”ことが大事です。このトレーニング計画は簡単にたてられないので専門家のコーチングを受けることを勧めます。

投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。