トレーニングを継続させる方法

食事管理やトレーニングを継続して行うことはとても大変なことです。

「意志が弱いから」

「誘惑に負けちゃう」

「時間がないから」

できない理由は沢山あると思います。

そこで今回は専門家として

精神論ではなく、理論的に

「なぜトレーニングを継続できないのか」

「トレーニングを継続させる方法」

の2点について述べていこうと思います。

トレーニングは生理的欲求ではない

生理的欲求とは?
➡”食欲”や”睡眠欲”などの【生きていくために必要な欲求】を指します。

トレーニングによる身体へのポジティブな効果は枚挙に暇がありません。
しかし、残念ながら生きていくためにトレーニングは必要ではないので
人は意図しない限りトレーニングを行うことはありません。

 

トレーニングは継続できない

先述した通り、運動は生理的欲求ではないので継続は困難です。

「トレーニングを始めて1年後も継続できていたのは4%以下」というデータがあります。

たったの4%です。出来なくて当たり前です。

仮に生理的欲求に”運動欲”があれば

街はマッチョな男性やスレンダーな女性で溢れかえることでしょう。

 

人間の進化の過程を理解する

遥か昔、人は狩りを行い、生きていくために必要な食料を確保していました。

現代のようにコンビニやスーパーは当然なく、食べたい時に食べられる環境ではありません。

それでいて、身体が栄養で満たされる時は少ないにも関わらず

十分な装備のない中で過酷な狩りをしなければ生命の維持はできません。

そのような環境にいた人間は

【生きるうえで必要な活動以外は無駄にエネルギーを消費しない】ように進化していったわけです。

なので「トレーニングをしたくない、面倒だ」と思う気持ちは正常な反応なのです。

 

理論的にトレーニングを継続させる方法を考える

人は長期的な行動によって得られる大きな報酬よりも
短期的な行動によって得られる小さな報酬のほうを選ぶ確率が高いことがわかっています。

その結果からわかるように
多くの方が食事管理やトレーニングで将来的に理想の身体が手に入ることがわかっていても
今ここでソファに座ってテレビをみながらビールを飲むこの瞬間の喜びを選択することも頷けます。

つまりトレーニングを継続させるために重要なものは“報酬”です。

 

継続のコツは”報酬”

継続によって得られる報酬はお金や物であってはいけません。
これで得られた継続性は、なくなった途端に多くがリタイアします。

ここでの”報酬”とは体重の増減や重いものが挙げられるようになったなどの

身体の変化に対する報酬を指します。

そしてそれは現実的である必要があります。
「来年の今日までに体重-20kg」
「2ヵ月でベンチプレス100kg挙げられるようになる」
など長期的なスパンで目標をたてるのではなく

「今日は階段を10往復、明日は15往復を行う」
「2週間で体重-1kg」
など、ビジョンのみえる短期的な目標を立てることで
コンスタントに報酬(結果)を与えることがモチベーションを維持する秘訣です。

 

記録する

失敗する方の多くがトレーニングの内容やそれで得た結果を記録しません。
記録をしないということは比較ができません
これは体重や腹囲などの記録だけではなく、トレーニングの内容についてもです。

トレーニングがマンネリ化(同じ内容を続ける)すれば求める報酬(結果)は得られません。
昨日より今日、今日より明日のトレーニングの質(時間や回数、セット数や使用重量など)を上げなければ効果は得られないのです。

※話がずれてしまうので割愛しますが、興味のある方は「ルーの法則」「過負荷(オーバーロード)の原理」「漸進性の原則」を調べてみてください。

簡単で結構なのでカレンダーや日記帳に運動した内容や身体の変化(体重/腹囲など)を記録してください。

 

誘惑に負けそうになったら①

週5日、祝日でも休日でもトレーニングの日であれば必ずトレーニングをしている筆者であっても誘惑に負けそうな時があります。

この時に有効な方法が
「if・then実行プラン」です。

これは誘惑に対して「負けないぞ!」という意志で対抗するのではなく、
あらかじめ「もし(if)誘惑に直面したら、その時(then)は〇〇〇する」とルールを作る方法です。

そんなことで変わるの?と思いますよね。
それを実証した実験があります。

簡単に説明すると、ある作業を行わせている子供に、オモチャが「一緒に遊ぼう♪」と誘惑して作業を中断させてきます。
それに対して子供にはあらかじめ
「もしオモチャが遊ぼうと誘惑してきたら、今仕事中だから遊べないよと誘いを断ってね」
とルールを作ったら、この誘惑に対して子供たちは負けずに作業を続けることができたという結果が出ました。

人は誘惑に負けるという正常な意志に対して
ルールを作ることで誘惑を回避することが可能
ということが実証されたのです。

意志のレベルをキープすることは困難です。
確固たる意志で挑める時もあるし、疲れていて意志が揺さぶられる時もあります。
そこで、あらかじめ誘惑に対する回避行動を決めることで意志のレベルに左右されずに機械的に行動することが可能となります。

まずは誘惑となる対象を明確にしましょう。
たとえば、それが甘いものなのであれば、買い物のときに、その甘いものがある所を通らない、甘いものを買いたくなったらスルメを買うなどの回避行動のルールを決めましょう。

また、それが椅子に座ると動きたくなくなるのであれば、仕事から帰っても椅子に座らず運動する準備を始める、タイマーをつけて10分たったら始めるなどのルールを作るのもいいでしょう。

 

誘惑に負けそうになったら②

先述した通り、人は不必要行動を避け極力動かないことが良いとプログラムされています。
つまり、大抵トレーニングが面倒になる時は「動いていない」ときに感じます

面倒になった時、まずはその場から立ち上がり動いてみてください。

たったそれだけの行動で人はその誘惑を遮断し、「面倒だけど、運動するか」という行動に向けやすいことが実証されています。

そして動いたら必ず簡単なことでいいので何か目的を達成してください。
トイレにいく、顔を洗う、水を飲む、なんでもいいです。
この小さな達成により「トレーニングをするか」という行動へ更に導くことができるのです。

例えば、何気なく始めた簡単な掃除が気がつけば大掛かりな大掃除になったなんてことがありますよね。

それが簡単な行動が与える大きな影響です。

 

まとめ

・トレーニングをしたくないと思うのは正常な反応
・トレーニングを継続させる方法
➡長期目標は立てず、1~2週間程度で達成可能な短期目標をたててコツコツ、クリアしていく。
➡これらの過程は必ず全て記録する。
➡if・then実行プランを決める。
➡やりたくない時はその場から動く

投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。