平行筋と羽状筋からみえるトレーニング方法

ご覧いただきありがとうございます!

 

栄養の情報が多くなってきたので

トレーニングに関連した情報も少しずつ発信していこうと思います(^^)

多くの方に「筋肉」を知っていただき

少しでもトレーニングライフに役立てていただければと思います。

 

今回のテーマは

「平行筋と羽状筋からみえるトレーニング方法」です。

・・・長編です゚(; ・`д・´)

 

“筋肉の形”には色々な種類があり、その種類によって

“向いている”トレーニングがあることをご存知でしたか(^^)

 

栄養の情報に比べてトレーニング情報は説明が多くなるので

読むのに大変だと思いますが、効率的・効果的なトレーニング方法に導いていくのには

どうしても必要なことになるので最後まで読んでいただけたら幸いです!

はじめに

車には、速く走ることに特化したレースカーや

強い力を出すことに特化したダンプカーなど

車の使用目的によって色々なタイプがありますね。

「筋肉の形」も同様に、素早く力を出すことに特化した筋肉の形

強い力を出すことに特化した筋肉の形など

目的に合わせたタイプの筋肉が身体の各部位に配置されています。

 

“筋肉”の形以外にも、筋肉を更に細かくみていくと

筋肉ひとつひとつの”筋繊維”にも種類がいくつか存在し

素早い力を出すタイプ、持久力のあるタイプなどに分類されます。

それらも含めてお話をすると、どんどん話が複雑になっていくので

ここでのテーマは“筋肉の形状”から考えるトレーニング方法についてとさせていただきます。

 

筋肉の形状の種類

筋肉の形といっても細かく分けると幾つもあるのですが大きく分けると2つです

それがタイトルにある

平行筋(紡錘状筋)」と「羽状筋」です。

 

★平行筋(紡錘状筋)とは

「筋肉をみせて!」と言われたら、力こぶをつくると思いますが

平行筋の代表がその力こぶ(上腕二頭筋)です!

平行筋を車で例えると「レースカー」

スピードに特化した筋肉の形をしています。

 

★羽状筋とは

羽状筋は文字通り、鳥の羽根のような形をしています。

羽状筋の代表は、肘を伸ばす筋肉(上腕三頭筋)や

太ももの前側についている大きな筋肉(大腿四頭筋)です。

羽状筋を車で例えると「ダンプカー」

強い力を出すことに特化した筋肉の形をしています。

 

特徴

平行筋は下記画像から読み取れるように

長軸方向に対して並行かつ直線的に配列されている(下図画像の左)のに対して

羽状筋は長軸方向に対して斜めに配列(下図画像の右)されています。

そして平行筋は筋肉の線維一本一本が平行に走っているので

筋肉の線維が縮む距離は、筋肉が縮む距離とイコールです。

例えば1秒間に筋線維が30%縮めば、筋肉全体も30%縮みます。

 

一方、羽状筋は筋肉の線維一本一本が平行筋と比べて短いため

筋肉の線維が縮む距離は、筋肉の全長からすると縮む距離は少なくなります

例えば1秒間に筋線維が30%縮んでも、筋肉全体としては10%ほどしか縮みません。

つまり、収縮速度は平行筋の3分の1です。

 

このように平行筋は筋肉の線維が出したスピードを、そのまま筋肉に反映できるので

スピードに特化している形ということがおわかりいただけると思います。

 

しかし羽状筋は長軸方向に対して筋線維が斜めに配列されているので

平行筋と同一の体積、同一長で比較しても、より沢山の筋線維をつめこむことができます。

つまり、平行筋にはスピードで劣りますが、とても強い力を出すことができるということです。

身近なわかりやすい羽状筋は「蟹の爪」です。

蟹の挟む力は物凄い強いですが、挟むスピードはそこまでありません。

蟹を食べる時がありましたら是非、羽状筋をチェックしてください(^-^)

まとめ

平 行 筋 は 「 ス ピ ー ド > 力 」

羽 状 筋 は 「 ス ピ ー ド < 力 」

余談

ちなみに、伸筋(肘を伸ばす、膝を伸ばす、踵を上げる筋肉など)には羽状筋が多く

屈筋(肘を曲げる、つま先を上げる、(膝を曲げる)筋肉など)には平行筋が多いです。

人体に多い筋肉の形は「羽状筋>平行筋」です。

 

毎日行う日常生活動作、立つ、階段をのぼる、歩くなど

そして、飛ぶ、走るなどの体重以上の負荷が身体にかかる時など

日常生活では屈筋(平行筋)が使われる頻度よりも

伸筋(羽状筋)が使われる頻度多いため人体には羽状筋が多いのでしょう。

一方、屈筋は日常生活で大きな力を必要とすることは殆どなく、どちらかといえば

熱い物を触ったときや、画びょうを踏んだ時など緊急時にとっさに腕や足をひっこめるときの

防御反応として素早く動かせるように屈筋には平行筋が多いとも言えるでしょう。

さぁそれでは筋肉の形状についての解説はここまでにして

筋肉の形状とトレーニングについてのお話をしていきます!

 

“筋肉の形状”から考えるトレーニング方法

先述した通り「平行筋はスピード」「羽状筋は力」に特化した形状です。

 

●平行筋は5回も8回も持ち上げられないような高重量でトレーニングを行うより

12~20回くらいで出来る重さでトレーニングを行うほうが効果的と言われています。

●羽状筋はその逆で、高重量で行うトレーニングのほうが効果的と言われています。

そうすると必然的に高重量なので5~8回くらいで出来る重さが妥当と言えるでしょう。

 

平行筋は「~中重量で回数」でトレーニングする方法が向いている

羽状筋は「中~重量で回数」でトレーニングする方法が向いている

 

おわりに

ただし、どちらの筋肉の形状も「筋力を伸ばしたい」場合は高重量で行うほうが効率的です。

筋肥大(筋肉量の増大)においては、どちらの方法で行っても有意差は殆どないです。

そのため、時には平行筋向きのトレーニング(低~中重量で高回数)を羽状筋でも行い

羽状筋向きのトレーニング方法(中~高重量で低回数)を平行筋でも行い色々な刺激を与えることが有効です。

しかし、羽状筋向きのトレーニング方法を平行筋で行う際には怪我に注意してください。

 

おまけ【筋肉が沢山つくと運動音痴になる?】

「マッチョは動きが遅い」

「筋肉が沢山つくと動作の邪魔になる」

こういった意見に対して

「筋肉の形状」という視点からお答えします。

 

Q.筋肉が沢山つくと運動音痴になる?

A.なりません。

しかし世界でトップクラスの筋肉量をもつほどのマッチョだったら

運動音痴になる可能性はあるかもしれません。

 

これには羽状角が関わってきます。

筋肉は「腱(けん)」に繋がっています。

そして筋肉は腱を介して骨格に力を伝え、その結果「関節運動」が起きます。

平行筋は腱に対して殆ど真っ直ぐな方向で繋がっています。

一方、羽状筋は腱に対して斜めに配列されています。

腱の長さには限りがあるので、その長さの中に沢山の筋線維を

詰め込むためには「羽状角」(下図参照)を大きくすることで

限られた長さの中に詰め込めます。

一般的に羽状角は5~25°ですが、世界でトップクラスの筋肉量をもつ方は

羽状角が50°を超えるケースもあり、この羽状角の角度が高くなればなるほど

「腱」に伝わる力にロスがうまれ、発揮できる力が落ちる可能性が出てくる可能性があります。

 

が、そのようなことはステロイドなどで筋肉量の限界を突破でもしない限り

起こり得ないので、スポーツ選手は安心して沢山筋肉をつけてください。

投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。