高齢者の安静はキケン!~理学療法士からのお願い~

ご覧いただきありがとうございます!

 

突然ですが私は、関東・東北豪雨による水害時に、リハビリテーション支援活動に参加しました。

 

日常生活をそれまで普通に過ごしていたはずの多くの健常高齢者の方々が

避難所での安静時間が増えたことにより

身体の変化(活動量の低下による浮腫・痛み・筋力低下など)に悩まされていました。

 

自宅内での生活が中心となった今ですが

収束した後、すぐに元の生活に戻れるように

今まで以上に自身のフィットネスに気を配る必要があります。

 

そこで今回は

高齢者の”安静による筋力への影響”についてご説明させていただきます。

 

この記事を読んでいただいたら

是非ご親族、ご友人との情報共有と周囲への注意喚起をしていただければ幸いです。

固定による筋肉への影響

安静とは違いますが、それに似た「固定による筋肉への影響」について興味深い結果があります。

関節を数週間にわたり固定➡関連する筋肉の活動が下がる➡筋肉の萎縮(筋肉量が落ちる)と筋力の低下(筋肉が発揮できる力)が起きる

これは固定から最初の2~3週間で起きます。また、最初の週では1日に3~6%減少したようです。

その後、10日間の固定では最初に比べて1RMの40%減少が見られたとのこと。
(※1RMとはギリギリ1回持ち上げられる重さ)

上記の場合、例えば1RM100kgだとしたら、10日間の固定で1RM60㎏にまで下がったということです。

固定後の筋力低下は通常、筋萎縮の2倍の割合で起きます。

筋の横断面積が20%減少すると筋力は40%失われるといいます。

また、長期の固定で特に影響を受けやすい筋肉

【ヒラメ筋/内側広筋/中間広筋/多裂筋】

姿勢を維持したり、立ったり歩いたりするために必要な筋肉に大きなダメージが出るということです。

更に、これは筋肉が短縮位(縮まった位置)に保持された場合、顕著にでます。

つまり座った姿勢や寝ている姿勢は、これに該当します。

上記のデータは固定による影響であり安静ではありませんが、安静時間が長くなった今、十分に考慮するべき内容です。

加齢による筋肉への影響

健常者であっても加齢に伴う筋力低下は免れません。

若年者であればこれは緩やかにおきますが、高齢者ではこれが顕著です。

特に影響を受けるのが最大筋力よりパワーです。

 

最大筋力?パワー?

例えば[A]と[B]という車があります。

[A]も[B]も共に出せる最大速度は100㎞だとします。

[A]は100㎞に到達するまで2秒
[B]は100㎞に到達するまで10秒

・最大速度が『最大筋力』
・到達するまでにかかった時間が『パワー』

この場合パワーがあるのは2秒で100kmに到達した[A]の車です。

加齢にともなって、立ち上がるのが大変になった、走れなくなった、ジャンプができなくなった

こういったサインはパワーの低下を意味します。

そしてこれは

60歳以降の10年間で10%

75歳以降では急速に衰弱し、下半身が顕著です。

安静は、健常若年者であれば日常生活に支障をきたすレベルの影響は殆ど考えられませんが

高齢者であれば『安静による筋力低下』『加齢による筋力低下』

両方からの影響により何倍にもなって進行することがお分かりいただけたと思います。

 

自宅で出来る簡単!!筋力チェック

★30秒間立ち上がりテスト★
【準備するもの】
・膝が直角になる椅子
(なかったらご自宅の椅子でもいいです)

【方法】
1)軽い準備体操を行います
2)上記画像のように胸の前で腕を組んで椅子に座ります。
3)スタート
4)しっかり全身が伸び切るまで立ち上がってください
5)座る(これで1回)
➡4)と5)を30秒間繰り返し行います。
※動作中は絶対に息を止めないでください。

【測定結果】
終わった時点で14回以下の場合
➡筋力低下や転倒リスクが高いことを意味します。

↓インスタグラムで動画で説明しています↓

 

自宅での過ごし方

【自宅での効果的な運動は?】
・自宅に手すりのついた階段がある方は階段昇降
・ない方は立ち上がり訓練
※特に下半身を重点的に運動するように心がけてください。

回数や時間は個人差があるため
オススメする方法は
毎日カレンダーに運動した内容を記録してください。
そして前日よりも少し回数や時間を増やしてください。
例)●月●日:階段昇降5往復➡●月●日:階段昇降6往復

 

さいごに

自宅にいると水分摂取量が減ります!
最低でも1日1リットル~1.5リットル、できれば2リットルは飲んでください。

以上の内容を是非、ご親族ご友人とシェアして安静にしている時間を少しでも減らしていただければと思います。

投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。