障がいで諦めない。能力を決めつけない。

昨年の夏前頃に当ジムの門を叩いていただいたお客様

『日常生活でふらつくことが増えた』

コロナウイルスの蔓延により、元々利用していたサービスに積極的に通うことができなくなり、活動量が激減。

また、脳血管疾患や心疾患、整形疾患、そして年齢的要因も重なり日常生活に多くの制限が出てきました。

 

当ジムで初めてトレーニングを行う日に、運動機能の検査を行いました。

その結果がこちらです。

運動機能検査[初回]

●片脚立位テスト4秒でバランスを崩す

●30秒間立ち上がりテスト12回で終了(14回以下は転倒リスクが高い)

ここからがスタートです。

1回のトレーニング時間60分、週に1回実施

それを1ヶ月間(計4回)行った時点で運動機能の検査を再び実施しました。

その結果がこちらです。

【結果】

●片脚立位テスト【4秒→33秒

●30秒間立ち上がりテスト【12回→20回

運動機能の向上により日常生活動作がスムーズになりました。

また当時、栄養のバランスが悪く体重が減少していたため、栄養管理も並行して行った結果、体重も増えました。

ここで重要なポイントとなるのが『誰でも筋トレをすれば運動機能は良くなるのか?』ということです。

 

筋トレをすれば運動機能は良くなるのか?

「筋肉」を「車」と考えてください。

その「車」を動かすには「運転手」が必要です。

その「運転手」にあたるのが「脳」です。

つまり、いくら良い車(筋肉)でも、それを運転する側(脳)に問題があれば車は正確に走りません。

その逆もしかり、運転手(脳)が運転が得意でも、車(筋肉)に不備があれば正確に走りません。

どちらの場合でも、その状態が続けば、怪我や障がいのリスクが高まります。

 

よって「筋トレをすれば運動機能は良くなるのか?」という問いの答えは…。

ただ身体を鍛える(車だけを良くする)だけでは効率よく運動機能は良くならないということです。

 

筋力トレーニングには「車(筋肉)」を鍛える側面、「運転手(脳)」を鍛える側面があります。

ですが、意図しない筋力トレーニングは車(筋肉)ばかりが鍛えられ、運転手(脳)が効率よく育ちません。

これを解くカギとなるのが『特異性の原理』です。

【特異性の原理とは】

あるトレーニングを行った時、そのトレーニングに対しての効果しか得られません。

例えばジョギングを一生懸命頑張っても心肺機能は向上すると思いますが、筋力の向上は期待できません。

スクワットを行った場合でも、下半身の強化になりますが、上半身の強化にはなりえません。

つまり目的に応じてトレーニングの種類を選ぶ必要があるのです。

同様に、ある種の能力を高めるにはそれに似たトレーニングをする必要があります。

例)富士山に登りたい方が行う筋力トレーニングとして適切な運動をどちらでしょうか。

A.仰向けになってお尻上げ

B.片脚スクワット

筋力トレーニングの知識がなくても、感覚的に登山に使いそうな筋肉、登山の動きに似ている筋トレが「B.片脚スクワット」とわかるはずです。

ここでのポイントは目的・目標に対して特異性の高いトレーニングを行い(運転手を良くする)、かつ負荷を高めて筋肉量も増やしていくこと(車を良くする)です。

目的・目標の動作に対するトレーニングの特異性が低ければ低いほどその動作は上手くなりません。

また、トレーニングの負荷が弱すぎれば筋肉も増えません。

この『特異性と負荷のバランス』が大事なのです。

今回のお客様の場合は特に歩行や段差昇降時のふらつきが顕著に出たため、早期に転倒リスクを減らす必要があり、この理論にのっとってトレーニングを開始しました。

その結果がこちらです。

 

運動機能は、必ず衰えます。

そしてそこに年齢、体重、痛み、病気、運動習慣の有無などの要素が重なり合えば”衰え”は加速します。

その”衰え”を遅くする手段の一つが筋力トレーニングであり、運動機能を向上するには車と運転手を鍛える他ありません。

怪我や障がいで諦めない。

「この歳だから」「痛いから」といって今の能力や限界を決めないでください。

筋力トレーニングは、今できる最高到達点に導き、そして更に上を目指していくための道をつくることができます。

 

当ジムのトレーニング方針にご興味いただけましたら是非お問い合わせください。

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投稿者プロフィール

Yutaro Masuda
Yutaro Masuda理学療法士
理学療法士として幾多の臨床経験を経て2020年に『RE-ALL FITNESS』を設立。
もともとは体重100kgオーバーの大食漢。腕立ても腹筋も出来ない男がアメリカンフットボールに出会ったことをきっかけにトレーニングを始める。やめてからはパワーリフティングに転向し、トレーニングに明け暮れる2児の父親。